食べない人は痩せにくい

こんにちは 名古屋の管理栄養士 長谷川カヨです

時々驚くほど食べる量が少ない人に出会います。それなのにBMI25以上、血糖値も高く、代謝異常も起こしていることがあります。もちろん減量のために食事の量を極端に減らしているんですが、それでも体重が減らないのでさらに食事の量を減らそうとしてしまいます。

糖質制限でもカロリー制限でも、どんなダイエット法も6か月まではだいたい減量できます。問題はその後リバウンドしてしまうダイエット法が多いことです。そしてさらに減量するために食事の量をもっと減らさなければいけないと思ってしまいます。

カロリーだけで考えてしまうとこのようなことが起きがちです。

1回の食事の量が幼稚園児のお弁当箱に入るくらい少なかったり、中には肥満外来の処方薬を服用しながらどんどん食事量を減らすように言われて推定1日800kcalも摂れていないような方もいらっしゃいます。これでは元気も出ないですし、処方薬からも離れられなくなってしまいます。

今日はどうしてこんなに食べる量が少ないのに減量出来ないのかについて数パターン書いていきます。
もしその中に当てはまるものがあったら、少しずつ変えていってほしいと思います。
カラダの代謝がうまく回ってくれて元気で、これからも当たり前のように体重を維持できるといいですよね。

極端に食事量が少ない

ローカロリーを気にして、エネルギーを代謝するための栄養素も足りなくなってしまっているパターンです。基礎代謝低下、体温低下、体力低下が起こります。

食事を極端に減らしても減量出来るのは最初の数か月だけです。しばらくすると基礎代謝量が低下して体重が落ちなくなってしまいます。

一般的に基礎代謝量は男性成人で1500kcal、女性で1200kcalくらいはあると言われていますが、個人差があります。ランニングで消費するエネルギーは30分で200kcal程度なので、それに比べたら基礎代謝量は桁違いに大きい数字です。

食事量を減らし始めた頃は摂取エネルギーと基礎代謝量を含めた消費エネルギーの差で体重が落ちていきます。でもそれは長く続きません。すぐにカラダは入ってくるエネルギーでも問題なく生きていけるように基礎代謝量を落とします。そして基礎代謝量が落ちた状態はその後長い間続きます。

つまり、食べた量に対しても基礎代謝量が変動してしまうので「食べなければ痩せられる」という状態はあっという間に終わってしまうのです。

さらに、食事を極端に減らすことで体の組織を構成するたんぱく質、脂肪を燃焼させるマンガン、マグネシウム、パントテン酸、糖質の代謝に必要なビタミンB群、クロムを含めた体の機能を正常に維持するための必須栄養素も不足してしまいます。

基礎代謝量が落ちてしまうと減量するのに時間がかかるようになってしまいますが、糖新生を促せるように1日2食にしてみるなどでちょこちょこ食いを止めて、食べる回数を減らしてみるのがお勧めです。食事は「まごはやさしい」を意識して、食物繊維と栄養が多い食事を週1回からでも増やしていくといいです。

リバウンドを繰り返して、どんどん痩せにくくなっている

3~6か月の短期間で一気に体重を落とすことでも基礎代謝量低下が起こります。

一気に体重が落ちるとカラダはホメオスタシス(恒常性の維持)によって、グレリンなどの食欲増進ホルモンの分泌を増やし、満腹ホルモンの分泌量が減らして減った体重を取り戻そうとします。

基礎代謝量が減って、食欲が増え、満腹を感じにくくなっている状態に抵抗して減量するのはとても難しいので、どうしてもリバウンドしやすくなります。

この状態を繰り返してしまうと、どんどん痩せにくくなります。

減量するなら1か月に1kg減でかなりいいペースです。それ以上の減量はリバウンドとホメオスタシスの逆襲にあいます。

そしてこのパターンの方には「体重が増えてもまたすぐに減量出来るからいいですよ」とか「若い頃に10kg以上減量したことがあるから、またやればいいだけですよ」と仰る方が多いです。

よろしくないです・・・。そろそろ短期集中型ダイエットを卒業してほしいなと思います。

長年かけてゆっくり着実に体重が増えた

20代の頃と比べて10kg以上体重が増えた方のほとんどが急な体重増加ではありません。1年に0.5~1kgずつ体重が増えて20年、30年かけて10kg以上体重が増えたのです。短期間で増えた体重を元に戻すのは簡単ですが、長い間かけてゆっくりと増え続けた体重を減らすのは大変です。

こういう方のほとんどが空腹時でも血糖値がしっかり下がっていません。つまりインスリンの分泌量が多いままなので、インスリンの効きが悪くなり、どんなものを食べても体重が増えやすい状態になっている可能性があります。まずは血糖値、インスリン分泌の改善を優先してほしいと思います。

1日に食べる回数を減らすために、食事以外でエネルギーを摂ることを止めたり(少しのデザートは食後だけ)、1日2食にすることで食べない時間を長くして血糖値がしっかり下がるようにすると痩せやすくなります。

毎日お酒を飲む 

習慣的に飲酒するとどうしてもお腹まわりに脂肪がつきやすくなります。

日本人は太ると脂肪肝になりやすいのに、世界一飲酒に寛容で飲酒機会が最も多い国と言われています。私がお会いする方の中にも毎日飲酒する方はとても多いです。

脂肪肝の主な要因は、食べ過ぎ・体重過多・飲酒ですが、それらは相互に関わり合っています。お酒を飲むと食欲が増してついつい食べ過ぎてしまう・・・だけではなく飲酒、体重増加、脂肪肝は相互に関わっているのです。

・飲酒により脂肪酸の分解抑制(脂肪酸がエネルギー化されにくくなる)、肝臓での中性脂肪合成促進(体脂肪となる中性脂肪の合成が盛んになる)、糖新生抑制(中性脂肪がグリセロールに分解された後、糖新生してグルコースになりエネルギーとして使われるのを抑制する)が起こります。

つまり、飲酒することで体脂肪が溜まりやすく、溜まった体脂肪をエネルギーとして使いにくくなるので、どんどん体脂肪が増えてしまいます。これはアルコールの種類に関わらず起こります。

・アルコール自体のエネルギーの一部は飲酒後に基礎代謝が15~25%程度亢進(温熱効果)することで消費されます。アルコール自体のエネルギーよりも、砂糖や果汁でつけられた甘味で、特にフルクトース(果糖)の影響でさらに中性脂肪の合成が促進されて体脂肪が増えやすくなります。

・脂肪肝なると肝臓でインスリン抵抗性(効きが悪い)が発現しやすくなり、糖質が体脂肪として溜まりやすくなります。日本人のインスリン分泌能が欧米人と比べて1/2~2/3程度しかないことも重なってしまいます。

ワインのように原材料表示義務がないものもあります。例えば、安価なワインだとぶどうジュースに砂糖とイースト菌を入れて作られたものもあります。こうなるとただのジュースです。

せっかくお酒が大好きなら、安価なものをたくさん飲むよりも少し値が張っても、おいしいものをたまに味わって飲んだ方が楽しいし、満足感も高いかもしれません。

そして飲酒するなら、糖新生を促進してくれるような筋トレやジョギングのような少しハードな運動をお勧めします。

慢性的なストレスと寝不足

ストレスが強い状態と寝不足が重なると、体脂肪が増える悪循環が生まれます。

慢性的なストレスによってコルチゾールの多量分泌が起こり、血中のグルコースの値が何カ月も高いままになってインスリンの多量分泌が促されます。そして特にお腹周りに脂肪がつきやすくなります。

それに睡眠不足が重なるとレプチン(満腹ホルモン)の減少とグレリン(食欲ホルモン)の増加によって満腹感を感じにくくなって食欲が増します。

この状態で食事量を減らしても、思ったより減量出来ないのです。

私がお会いした方の中に、食べる量は全く変わらないけど睡眠を改善しただけで5kgくらい自然に減量した方もいらっしゃいます。

慢性的なストレスと寝不足が重なっている方は、ストレス解消は短期間では難しいかもしれませんが、何より優先して睡眠時間を長くするのをお勧めします。

量は少ないけどカロリーが高い食事が多い

最近一番多いのがこのパターンです。

食べるものの中で加工品の割合が高くなるとこのパターンになりやすいです。

パン ラーメン パスタ 冷凍食品 レトルト食品 インスタント食品 ファーストフード

実際に食べている量は少なくても、なかなか体重が落ちません。

このパターンの食事は食物繊維が極端に少なく、糖質と塩分、脂質が多くなります。

食べものが小さいので胃の満腹感を得にくく、食物繊維が少なくて糖質が多いので血糖値が急上昇します。その後血糖値が急降下、すぐにお腹が空いてしまいます。減量しようと思うと我慢が問われる食べ物ですが、食べている量の割にはお腹まわりに脂肪がつきやすくなります。

なぜ加工品には食物繊維が少ないかというと、食物繊維を抜くことで味、食べやすさや舌ざわりが良くなり、嵩が小さくなることで物流コストも落とせるからです。糖質は甘味を感じる程でなくても、入れることで安価でツヤ・コク・しっとり感が高められます。加工品が多いと知らず知らずに糖質の摂取量が増え、それに比例して塩分も多くなります。

加工食品にとって食物繊維を減らして、糖質を増やすことはとても有益なのです。

ただ、私たちにとっては食べる量が少なくても太りやすくて、すぐにお腹がすいてしまう有益ではない食べ物です。

この状態で減量するのはとても大変なので、まずは加工品を出来るだけ減らして「まごはやさしい」の食材を、形が残ったままで(加工度が低い)食べることを増やしていってほしいと思います。

加工品が多いままで食べる量を減らそうとするより、加工度が低いものを増やしていくようにすればそんなに我慢しなくても痩せやすくなります。

夕食の時間が遅くなったらいつの間にか体重が増えていた

仕事が忙しくなって夕食の時間が遅くなったら、じわじわ体重が増えてしまったという方も多いです。

時間栄養学の中で、Bmal1(ビーマルワン)という時間遺伝子は脂肪の蓄積を促し、燃焼を抑制すると言われています。Bmal1が活性する22時~2時の飲食は体脂肪がつきやすいのでこの時間帯の飲食は避けましょうという話です。

ただ、私の実感ではこの話は正直ピンときません。実際に1日の摂取総エネルギーが同じの場合、夕食の時間に関わらず1日合計のエネルギー消費量に差はなかったという研究結果があります。Bmal1についてはラットでの研究結果でしかないので人においては未確認ですし、私はそれ以外の要因の方が大きいと感じています。

それは夕食の時間が遅くなったことでできた習慣で、一番多いのが夕方や夕食後のパンやお菓子、夕食の早食いです。

ランチの内容が原因になっていることもありますが、どちらかというとストレスや疲労感によるニセの食欲が原因です。イライラしたり、疲れると甘いものが食べたくなることってありますよね。忙しい中で手軽に食べられるものを、となるとどうしても保存性がよくて小さくて軽いお菓子やパンになりがちです。

こうなると常に血糖値が高い状態が続いて、体脂肪が減る時がなくなってしまいます。

お仕事の都合もあると思いますので、夕食の時間を早めるのはそうそう簡単なことではありませんが、この習慣が続くと血糖値の乱高下で余計に疲れやすくなってしまいます。ニセの食欲の場合は食べないと決めてしまえば意外と平気だったりしますし、どうしても食べたい時は血糖値が上がりにくいナッツ類やチーズ、卵、カカオ70%以上のチョコで乗り切るのがお勧めです。

無意識に食べている

主婦やテレワークの方に多いパターンです。

こどもの残したものを食べたり、作業しながら食べたりと無意識に食べていると意外とたくさん食べてしまっています。「ながら食べ」をすると満足感が薄いので、詳しく聞き取るまでご本人もどのくらい食べているか自覚していないことが多いです。

自覚して食べている量は少ないけど、1日トータルで聞き出すとご本人もその量にびっくりする、なんてことは珍しくありません。

忙しい中ではなかなか難しいかもしれませんが、せっかくだから味わって食べる機会が増えるといいなと思います。食べるのと作業するのを分けられたら、満足度も高くなりますよ。

数パターン書いてきましたが、体重が増える要因は本当に人それぞれです。要因にあった方法を選ぶと体調も良くなって体重も管理しやすくなって楽になりますよ。

参照:夕食の時刻が睡眠時エネルギー代謝に及ぼす影響 筑波大学大学院人間総合科学研究科 / 改訂5版臨床栄養ディクショナリー / 七訂食品成分表

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